東北は、北海道・信州と並ぶ「日本3大ツーリングパラダイス」のひとつです。
奥羽山脈を縦貫する絶景山岳道路が複数存在し、春の雪の回廊から夏の緑、秋の紅葉まで、走るたびに違う顔を見せてくれる。東京・仙台からのアクセスも良く、週末ツーリングでも十分に絶景を楽しめるのが東北の強みです。
この記事では東北を走るライダーが必ず押さえておくべき5つの絶景ルートと、各ルートの距離・通行期間・注意点・立ち寄りスポットをまとめます。
東北ツーリングを走る前に知っておくべきこと
山岳道路の冬季閉鎖に注意
東北の絶景山岳道路はほぼ例外なく、11月中旬〜翌4月中旬ごろに冬季閉鎖されます。走れるシーズンは例年5月〜11月上旬の約半年間です。
ただし各路線の開通時期は年によって変わります。出発前に必ず各道路管理者の公式サイトまたは福島・岩手・山形・秋田各県の道路情報を確認してください。
最適なシーズン
| 時期 | 見どころ |
|---|---|
| 5月〜6月 | 雪の回廊(八幡平等)・新緑 |
| 7月〜8月 | 青空と草原・高原の快走 |
| 9月下旬〜10月下旬 | 紅葉(特に蔵王・磐梯吾妻) |
紅葉シーズンの週末は観光客でどのルートも混雑します。早朝出発が快適走行の鉄則です。
春秋ツーリングの装備については「【2026年版】バイクの春・秋ツーリング完全ガイド」も参考にしてください。
ルート① 磐梯吾妻スカイライン(福島県)

「東北最強の絶景道。日本離れした火山荒原を駆け抜ける」
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 路線名 | 福島県道70号 福島吾妻裏磐梯線 |
| 全長 | 約28.7km |
| 最高地点 | 標高1,622m |
| 通行料金 | 無料(2013年7月25日より無料開放) |
| 冬季閉鎖 | 例年11月中旬〜翌4月中旬 |
このルートの何がすごいのか
浄土平付近の標高1,600m帯に広がる火山荒原の景観は「日本のアリゾナ」「プチルート66」とも呼ばれ、国内バイクツーリングでここ以外では見られない圧倒的な異世界感があります。噴煙を上げる一切経山を背景に、荒々しい岩肌と直線道路が続く光景はバイク雑誌の表紙を飾り続けてきた東北随一の絶景ロードです。
起点の高湯温泉から浄土平まで標高差約850mを一気に駆け上がる山岳ワインディングは走りごたえも抜群。樹林帯から視界が一気に開ける瞬間は何度走っても興奮します。
見どころ
- 浄土平:ルートのハイライト。吾妻小富士を背に火山荒原の直線を走る。浄土平ビジターセンター駐車場(200円)から吾妻小富士山頂まで徒歩約10分で火口跡と絶景が楽しめる
- つばくろ谷・不動沢橋:高さ84mの橋から覗く渓谷が圧巻。作家・井上靖が命名した「吾妻八景」のひとつ。駐車スペースあり
- 高湯温泉:スカイライン入口付近にある温泉街。共同浴場「あったか湯」で立ち寄り湯が楽しめる
注意点
- 火山ガス噴出エリア(浄土平周辺約1km)は駐停車禁止。 ゆっくり通過してください
- 紅葉シーズン(10月)の週末は渋滞が発生することがある。早朝出発がおすすめ
- 2026年は開通後5月10日まで夜間(17:00〜翌8:00)通行止め設定あり(年によって異なるため要確認)
ルート② 八幡平アスピーテライン(岩手県・秋田県)

「春の雪の回廊と360度パノラマ。北東北を代表する山岳道路」
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 路線名 | 岩手・秋田県道23号 |
| 全長 | 約26km |
| 最高地点 | 標高1,613m(見返峠) |
| 通行料金 | 無料 |
| 冬季閉鎖 | 例年11月上旬〜翌4月中旬 |
「アスピーテ」とは楯状火山の形を指す言葉で、緩やかな裾野が広がる八幡平の火山地帯を縦断するルートです。
最大の見どころは春の開通直後に楽しめる「雪の回廊」。道路両側に積み上がった雪の壁の間を走り抜けるシーンは北海道の天塩岳・滋賀の草津白根と並ぶ東北随一の体験です。開通時期は例年4月中旬ごろで、雪の回廊は時期によって高さが変わります(2025年は最大3m近く、2026年は最高1.5m程度)。
岩手県側から見返峠を越えると眼前に岩手山(2,038m)が広がり、秋田県側に下ると大深沢展望台から幾重にも重なる山々と遠くに鳥海山が見える2つの顔を持つルートです。
見どころ
- 見返峠(1,613m):岩手・秋田の県境。岩手側から見る岩手山が雄大
- 大深沢展望台(秋田側):重なり合う山々のパノラマと晴れた日の鳥海山
- ドラゴンアイ(鏡沼):5月中旬〜6月ごろの限られた時期に見られる神秘的な雪解け湖。八幡平山頂から徒歩で往復約30分
注意点
- 霧が出やすく、見返峠付近は天気が変わりやすい
- 開通直後は路面に砂・小石が残っていることがある
ルート③ 蔵王エコーライン(山形県・宮城県)

「タイトコーナーの連続が楽しい。蔵王のシンボル「御釜」へのゲートウェイ」
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 路線名 | 宮城県道12号・山形県道12号(蔵王エコーライン) |
| 全長 | 約26km |
| 通行料金 | エコーライン:無料/御釜へのハイライン:380円 |
| 冬季閉鎖 | 例年11月初旬〜翌4月下旬 |
宮城・山形にまたがる蔵王山塊を貫くワインディングロードで、タイトなコーナーが連続するテクニカルなルートです。道中に県境があり、2県をまたぐ旅情も楽しめます。
最大の観光スポットは蔵王のシンボルである火口湖「御釜(おかま)」。強酸性の湖水はエメラルドグリーンに輝き、天候や時間帯によって色が変わることから「五色沼」とも呼ばれます。御釜へは蔵王エコーラインから分岐する「蔵王ハイライン」(通行料380円)を走ってアクセスします。
見どころ
- 御釜(蔵王ハイライン経由・380円):強酸性のエメラルドグリーンの火口湖。蔵王最大の絶景スポット
- 秋の紅葉:9月下旬〜10月下旬が見ごろで燃えるような色彩が楽しめる。週末は非常に混雑するため平日推奨
注意点
- 蔵王エコーラインは閉鎖期間が比較的長く(11月初旬〜4月下旬)、走れる時期が限られる
- 火山活動の状況によって御釜への立ち入りが規制されることがある。訪問前に蔵王町・上山市の最新情報を確認してください
ルート④ 鳥海ブルーライン(山形県・秋田県)

「標高1,500mへ一気に駆け上がる日本海側の絶景ロード」
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 路線名 | 山形県道・秋田県道(鳥海公園矢島線等) |
| 全長 | 約34km(山形・秋田合計) |
| 最高地点 | 標高約1,150m付近 |
| 通行料金 | 無料 |
| 冬季閉鎖 | 例年11月中旬〜翌4月中旬 |
日本百名山の鳥海山(2,236m)中腹を横断するルートで、平地から標高1,000m以上を一気に駆け上がる爽快感が最大の魅力です。森林限界を超えると眼前に鳥海山の雄姿が広がり、振り返ると日本海と庄内平野の絶景が広がります。
「ブルーライン」という名前は、日本海の青と鳥海山の白い雪のコントラストを表したもの。春の開通直後は雪の回廊的な景観も楽しめます。
見どころ
- 鳥ノ海火口丘展望台(通称・鳥海山五合目):鳥海山と日本海を同時に望める絶景ポイント。秋田県側からアクセス
- 春の雪の壁:開通直後の5月ごろは道路両側に雪が残り、山形・秋田側ともに迫力ある風景が楽しめる
注意点
- 山形県側(小波渡〜吹浦)と秋田県側(象潟〜鳥海山五合目)では管轄が異なり、開通時期が若干ずれる場合がある
- 高地のため気温が低く、夏でも防寒着を携帯する
ルート⑤ 八甲田・十和田ゴールドライン(青森県・秋田県)

「ブナの原生林と奥入瀬渓流。東北最北の大絶景ルート」
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 路線名 | 国道103号・102号(八甲田・十和田ゴールドライン) |
| ルート概要 | 青森市街〜八甲田〜十和田湖〜奥入瀬渓流〜大館(または仙台方面) |
| 通行料金 | 無料 |
| 冬季閉鎖 | 八甲田エリア・十和田周辺は降雪期に通行注意(要確認) |
青森市街から国道103号で八甲田山を越え、十和田湖・奥入瀬渓流へと続く大ルートの総称です。「ゴールドライン」の名は秋の黄金色に輝くブナの紅葉に由来します。
ルートの最大のハイライトは奥入瀬渓流。全長約14kmに及ぶ渓流沿いを走りながら、苔むした岩と清流が作り出す世界を楽しめます。国指定の特別名勝・天然記念物に指定されており、バイクで渓流沿いの道をゆっくり進む体験は唯一無二です。
十和田湖を一望できる発荷峠(標高631m)からの眺めも必見。十和田カルデラ湖全体を俯瞰できる展望台として知られています。
見どころ
- 奥入瀬渓流:全長約14km・特別名勝・天然記念物。流れる水音を聞きながら渓流沿いをゆっくり走る。主要な滝・見どころにバイクを停めながら散策するのがおすすめ
- 発荷峠:十和田湖を一望できる絶景展望台。湖に突き出た中山半島が美しい
- 秋のブナ紅葉:10月中旬〜11月上旬の黄金色に輝くブナ林が「ゴールドライン」と呼ばれる所以
注意点
- 奥入瀬渓流沿いの道路は幅が狭く追い越しが困難。観光シーズンは車・バスも多いためゆっくり走ることが前提
- 十和田湖周辺は秋以降の気温低下が早い
5ルート一覧まとめ
| ルート | 県 | 全長 | 料金 | 冬季閉鎖 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 磐梯吾妻スカイライン | 福島 | 約28.7km | 無料 | 11月中旬〜翌4月中旬 | 火山荒原・国内随一の異世界感 |
| 八幡平アスピーテライン | 岩手・秋田 | 約26km | 無料 | 11月上旬〜翌4月中旬 | 雪の回廊・ドラゴンアイ |
| 蔵王エコーライン | 山形・宮城 | 約26km | 無料(御釜380円) | 11月初旬〜翌4月下旬 | タイトコーナー・御釜 |
| 鳥海ブルーライン | 山形・秋田 | 約34km | 無料 | 11月中旬〜翌4月中旬 | 日本海と鳥海山の絶景 |
| 八甲田十和田ゴールドライン | 青森・秋田 | 長距離 | 無料 | 要確認 | 奥入瀬渓流・ブナ紅葉 |
東北ツーリングにおすすめの宿泊スポット
東北の山岳道路沿いには温泉地が豊富で、ライダーに人気の宿が多数あります。
- 高湯温泉(磐梯吾妻スカイライン入口):自噴の硫黄泉。共同浴場「あったか湯」は立ち寄り入浴可
- 黒石温泉郷(八甲田周辺):青森県の秘湯が集まるエリア
- かみのやま温泉(蔵王近郊・山形):蔵王エコーラインへのアクセス起点として便利
まとめ:東北ツーリング、どこから走る?

※画像はイメージです。
東北5ルートをまとめると👇
走り応えと絶景のバランスが最高:磐梯吾妻スカイライン → 東北初ツーリングならまずここ。福島西ICから近く、アクセスも良い
季節を選んで走る価値がある:八幡平アスピーテライン → 春の雪の回廊か、秋の紅葉。どちらも感動保証
ワインディングを楽しみたい:蔵王エコーライン → タイトコーナーの連続で走りごたえ抜群。御釜は必見
日本海側の絶景が好きなら:鳥海ブルーライン → 東北日本海側を旅するなら外せない一本
ゆっくり自然を楽しみたい:八甲田十和田ゴールドライン → 奥入瀬渓流は走ることより、止まって歩くのも価値がある
全5ルートを一度の旅で走るなら、仙台起点の3〜4泊ルートがおすすめです。東北道・仙台を起点に南(磐梯吾妻・蔵王)から北(八幡平・八甲田)へと縦走するプランを組めます。
👉 ロングツーリングの準備は「【2026年版】バイクのロングツーリング完全準備ガイド」で解説しています。 👉 春秋の装備選びは「【2026年版】バイクの春・秋ツーリング完全ガイド」を参考にしてください。 👉 高速道路での走り方は「【2026年版】バイクの高速道路完全ガイド」もあわせてどうぞ。 👉 北海道ツーリングガイドは「【2026年版】北海道バイクツーリング完全ガイド」で解説しています。


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